BLEACH用語だらけの桃太郎
昔々、ある空座町に、おじいさん(アブウェロ)とおばあさんがいました。
ある日、アブウェロは、虚圏(ウェコムンド)へ最上級大虚(ヴァストローデ)を狩りに、おばあさんは、尸魂界(ソウルソサエティ)に死覇装の洗濯にいきました。
死覇装についていたホコリは、刃に似ていました。
おばあさんが、流魂街で洗濯をしていると、死覇装は縮んでかなりタイトになってしまいました。
おばあさんが洗濯を続けていると、瀞霊廷の方から、大きな崩玉が、ドンドチャッカ、ドンドチャッカと流れてきました。
おばあさんは、「スエルテ(ラッキー)」と叫んでこれを拾います。
おばあさんは、穿界門を通って飛廉脚で空座町に帰りました。
アブウェロが、響転(ソニード)で黒腔(ガルガンタ)を通って帰ってくるのを待って、おばあさんは、命を刈り奪(と)る形をした斬魄刀で、崩玉を切ろうとしました。
鋼皮(イエロ)が硬く、おばあさんは、これを切るのに苦戦しましたが、「剣は両手で振った方が強い」と気付いたことで、なんとか切ることができました。
崩玉を切る方法としてはエサクタ(正解)です。
崩玉の中からは、元気な金色疋殺地蔵が出てきました。
金色疋殺地蔵は、ピカピカ光っていましたが、偉大な相手というのは輝いて見えるものです。
子どものいなかったアブウェロとおばあさんは、「これも月島さんのおかげ」と大喜び。
闇に生まれし子どもは、中央四十六室によって桃太郎と名付けられました。
桃太郎は、チョコラテ・イングレスや絶えず自壊する泥の人形で遊びながら、すくすくと育ちます。
寝る子は育つというおばあさんの言葉に従った結果でしょう。
やがて桃太郎は、中学生になり、少し老けました。
桃太郎「13歳や」
ある日、桃太郎は、鬼が島には、死神の卍解を星章化(メダライズ)して奪う鬼(ディアブロ)がいるという情報(ダーテン)を入手します。
桃太郎は、後から生まれてくる弟や妹を守るため、鬼退治に行くことにしました。
おばあさん「死にに行く理由に他人を使うなよ」
おばあさん達は、桃太郎を止めますが、桃太郎の決意は変わりません。
桃太郎「人生が5回くらいあったらなあ! 5回とも違う街で生まれて 5回とも違うものをお腹いっぱい食べて 5回とも違う仕事して… それで5回とも… 同じ鬼を退治する」
ヒーローに憧れていた桃太郎でしたが、憧れは理解から最も遠い感情だと気付いたのです。
やがて、おばあさん達も桃太郎の熱意に負け、桃太郎の鬼退治を応援することになりました。
アブウェロ「進め 決して立ち止まるな 退けば老いるぞ 臆せば死ぬぞ!」
アブウェロとおばあさんは、桃太郎にソウル・キャンディ、プリングルス、聖文字(シュリフト)を与え、桃太郎を花鶴射法で送り出しました。
さよならを言う練習を終えた桃太郎は、甘さ(チョコラテ)を置いて旅に出たのです。
アブウェロ「俺達の仕事は 家の中を片付けて桃太郎の帰り道を用意してやることだ」
桃太郎は、鬼が島へ向かう途中、ロンダニーニの黒犬と出会いましだが、自壊していたのでおともにはできませんでした。
また、桃太郎が、破道の九十の詠唱破棄をしていると、狛村左陣と出会いました。
狛村は、雨と埃だけを食って辛うじて生きていました。
狛村「己を捨てた復讐などするな」
桃太郎「あまり強い言葉を遣うな 弱く見えるぞ」
このやりとりとは関係なく、桃太郎がドッグフードをあげると、狛村は桃太郎のおともになりました。
また、桃太郎と狛村が探査神経(ペスキス)を鍛えていると、狒狒王蛇尾丸に出会いました。
狒狒王蛇尾丸は、魂に誓って勝負を挑みましたが、あっさり負けてしまい、桃太郎のおともになりました。
その後、桃太郎一行が、虚(ホロウ)化していると、アビラマ・レッダーと出会いました。
彼は、第2十刃(セグンダ・エスパーダ)であるバラガンの従属官(フラシオン)であり、数字持ち(ヌメロス)です。
空戦鷲(アギラ)を使う彼でしたが、桃太郎が侘助で何回か斬りつけると、詫びるかのように頭(こうべ)を差し出し、彼もおともになりました。
こうして、犬、猿、キジをおともにした桃太郎は、やがて鬼が島にたどり着きました。
鬼「いつからここが鬼が島だと錯覚していた?」
桃太郎たちが、鬼が島だと思っていた場所は、真世界城(ヴァールヴァルト)へと変化した銀架城(ジルバーン)だったのです。
そこで桃太郎を迎えたのは、見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)から来た滅却師(クインシー)の皇帝と星十字騎士団(シュテルンリッター)達でした。
零番隊をも倒した彼らは、桃太郎たちを旅禍として迎撃します。
鬼「インヴェイダーズ・マスト・ダイ」
桃太郎は、静血装(プルート・ヴェーネ)、王虚の閃光(グラン・レイ・セロ)や最後の月牙天衝でこれに立ち向かいます。
犬は、黒縄天譴明王で、猿は双王蛇尾丸で、キジは帰刃(レスレクシオン)で戦いました。
桃太郎「俺自身が鬼になることだ」
聖別(アウスヴェーレン)や同士討ち、仮面の軍勢(ヴァイザード)の助けもあり、桃太郎たちは、鬼たちを追い詰め、あとは鬼の大将を残すのみとなりました。
桃太郎たちは、鬼の大将を総攻撃しましたが、桃太郎たちは、完全催眠にかかっており、実際に斬られたのは雛森でした。
桃太郎「雛森の霊圧が……消えた……?」
桃太郎の魔人の一撃は「致命的」でした。
桃太郎は、雛森のいない世界のスピードについていけそうにありません。
そこで、技術開発局に雛森を改造(なお)してもらいました。
桃太郎「済まぬ」
雛森「私は(謝罪を)拒絶する」
桃太郎「何を急に怒っているのかネ?君のそういう処…正直 引くヨ」
システムオールグリーン。桃太郎と雛森のコミュニケーションは不全でした。
桃太郎「できれば僕を…許さないでほしい」
そんなことがありつつも、桃太郎達は、なんとか全知全能(ジ・オールマイティ)の陛下を倒すことができました。
もっとも、結局、霊王が何だったのかはよく分かりませんでした。
とはいえ、桃太郎たちは、鬼たちが蓄えていた宝箱を車に積んで、おばあさん達の家へと持ち帰ることができました。
家に帰って宝箱を開けてみると、その中味は、ゾンビパウダーでした。
こうして、桃太郎は百年後までごきげんに暮らしました。
めでたしめでたし
完…だと…?
いらすとや:死神のイラスト
※この記事は、
星井七億さん(http://7oku.hatenablog.com/)の桃太郎シリーズに端を発した、
サイバーエージェント用語だらけの桃太郎
http://ameblo.jp/tsukkyiiiiiii/entry-12230199871.html
IT用語だらけの桃太郎
http://bulk.co.jp/theblog/nogutaku/172216472
サッカー用語だらけの桃太郎
http://ameblo.jp/redond/entry-12230406383.html
の流れに乗っかったものです。
関連記事
http://kido-ari.hatenablog.com/entry/2017/02/03/182255
当ブログのその他のオススメ記事はこちら。
読み返す度に発見がある。「ワールドトリガー」の魅力 その1
今回は、この漫画の魅力を語りたいと思います。
この記事は、この漫画を読んだことのない人や一度読んだけどピンと来なかったという人に、ぜひ読んでもらいたいと思いますす。
以下、若干のネタバレを含みますので、ご注意ください。
1 あらすじ
28万人が住む三門市に、ある日突然異世界への「門(ゲート)」が開いた。門からは「近界民(ネイバー)」と呼ばれる怪物が現れ、地球上の兵器が効かない怪物達に誰もが恐怖したが、謎の一団が近界民を撃退した。彼ら、界境防衛機関「ボーダー」は、近界民に対する防衛体制を整え、依然として門から近界民が出現するにも関わらず、三門市の人々は今日も普通に生活していた。
門が初めて開いてから4年半後、三門市にやってきた空閑遊真が、三雲修に出会う所から物語は始まる。
(ワールドトリガー - Wikipedia より引用)
序盤のあらすじは上記のとおり。
三雲修(オサム)とその友人、雨取千佳(チカ)、自身もネイバーである空閑遊真(ユーマ)がボーダーに入隊し、ボーダーとネイバーとのバトルなどが描かれます。
(主要キャラ4名は下記の画像のとおり)
そこで、用いられるのは、ネイバーの技術を利用した「トリガー」と言われる武器。
刀剣状のものやライフル状のものがあり、各人が、近接戦闘や狙撃などの役割に分かれて戦います。
(下記リンク参照)
一部に特殊能力持ちはいるものの、量産型の武器によるバトルがメイン。
設定としては、SF的な要素が強く、バトルの描写はサバゲー的な雰囲気もあるところです。
(主要キャラ4名。左から迅、チカ、ユーマ、オサム。ワールドトリガー第1巻)
( ↓トリガーの説明)
2 集団戦の面白さ
よく言われることですが、ワールドトリガーは集団戦なのが面白い。
この漫画で描かれるバトルは、大きく分けて2つ、①ボーダー内部での模擬戦と②ボーダー対ネイバーの戦いです。
①模擬戦については、個人戦とチーム戦があり、中盤以降はチーム戦がメインになってきます。
②については、攻撃に来た複数人のネイバーをボーダー側が防衛する形です。
(今後は逆にボーダーがネイバー側に遠征することも描かれると思われます)
つまり、どちらも一対一よりも、多対多が描かれるわけです。
この集団戦が面白い。
多対多であっても、なぜか結局バラバラに一対一をやる作品とは別の魅力があります。
正直、最初に読んだときは、キャラやトリガーの特性を把握できておらず、何が起きているのかよく分かりませんでした。
なんかごちゃごちゃ内輪でサバゲー的なことやってるなー、くらい。
三つ巴、四つ巴戦のランク戦になると、初見では、よく分からない人も多いのではないかと思います。
しかし、何回か繰り返し読んで行くうちに、キャラの見分けがつき、各トリガーの理解が深まってくると、各人、各チームが何をしようとしているのか、が分かるようになっていきます。
そうなってくると、戦闘描写の一つ一つの意味が分かるようになり、非常に漫画が面白くなってきました。
また、一対一だと、単純に力の差で決着が着くことも多いですが、集団戦の場合、弱いキャラでも、弱いなりに囮の動きをしたり、敵の能力を暴いたりと重要な役割を果たせるのも良いところです。
このあたりの面白さは、私のように初見ではピンと来なかった人でも読み返すと分かってくる場合があると思います。
あんまりハマらなかった人も、ぜひもう一度読み返してみてください。
3 シビアな実力差
主人公(の1人)、オサムは、率直にいって弱いです。
第1話からして、丸腰かつ一対多とはいえ、一般人であるクラスメイトにケンカで負ける始末。
1巻の時点では、わりと雑魚と言って良い敵(バムスター)に苦戦し、また、他の敵(モールモッド)1匹を倒すのに20人のオサムが必要、しかもそのうち18人は死ぬといわれます。
最初は初心者であっても、主人公なら秘められた素質があったり、修行で急成長するのが一種のお約束。
しかし、この漫画では、そうそう都合の良い急成長をすることはなく、一生懸命訓練したり、新たな技を覚えたりしてもあっさり負けたりします。
それは、訓練や工夫に励んでいるのは他の人も同じだから。
そういうシビアなところがこの漫画の良さの一つ。
少しずつ成長していくキャラを応援したくなります。
また、勝ちたい気持ちが強い方が勝つ、のような精神論は作中で明示的に否定されており、適当そうに見えるキャラや性格が悪いキャラでも、強い者は強い、というところも、シビアで面白いところだと思います。
4 「再読性」の高さ
もう一つ、ワールドトリガーの良さでよく言われるのは「再読性」の高さ。
再読性という言葉はあんまり聞きなれないですが、再読に耐え得る、再読すると1回目よりも面白い、といった意味だと思います。
作者もこの言葉を使っており、「再読性」については意識をして漫画を描いているそうです。
漫画全体のキャッチコピー「遅効性SF」や第一巻のキャッチコピー「やがてその意味に気付く物語」はこのあたりの意味を示しています。(コピーについては下記リンク参照)
実際に、ワールドトリガーは、何度も読むと面白さがわかっていきます。
上記の戦闘描写もその一つ。
他にも、連載初期にチラッと出てきたキャラが後で活躍したりして、読み返すときの発見があります。
また、伏線的なものも多いのではないかと思います。
例えば、細かいところでいうと、最新刊17巻では、遠征艇の狭さやボーダー玉狛支部のエンジニアの話が出てきますが、これらは既に3巻で言及されていたりします これを伏線というか単なる設定の先出しというかはともかく、こういう繋がりがあると、再読したときの発見があって楽しいものです。
(↓ポスター化されたキャッチコピー)
以上、ワールドトリガーの魅力でした。
一回の記事では書ききれなさそうなので、またそのうち続きを書きたいと思います。
【設定の勝利!】設定が斬新・奇抜・面白いおすすめ漫画30選【出落ち?】
設定が斬新・奇抜・秀逸な漫画を挙げてみました。
その発想はなかった!という漫画ばかりです。
なお、主観で物語の核心に触れるようなネタバレは避けていますが、設定に言及する以上、若干のネタバレはありますので、ご注意ください。
- 1 こころ オブ・ザ・デッド〜スーパー漱石大戦〜(夏目漱石、架神恭介、目黒三吉)
- 2 Back Street Girls(ジャスミン・ギュ)
- 3 サツリクルート(MITA、吉宗)
- 4 戦隊グリーンは目立たない(にがだんこ)
- 5 異能力バトルロイヤル(艮田竜和)
- 6 妄想食品館(ドングリ)
- 7 暗殺教室(松井優征)
- 8 オーシャンまなぶ(戸塚たくす)
- 9 ゼクレアトル〜神マンガ戦記〜(戸塚たくす、阿久井真)
- 10 超弩級少女4946(東毅)
- 11 不死身ラヴァーズ(高木ユーナ)
- 12 かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜(赤坂アカ)
- 13 聖☆おにいさん(中村光)
- 14 ノー・ガンズ・ライフ(カラスマタスク)
- 15 紺田照の合法レシピ(馬田イスケ)
- 16 北斗の拳 イチゴ味(武論尊、原哲夫、河田雄志、行徒妹)
- 17 サトラレ(佐藤マコト)
- 18 イマドキ☆エジプト神(美影サカス)
- 19 不死の猟犬(八十八良)
- 20 THE PENISMAN(石田スイ)
- 21 国民クイズ(加藤伸吉、杉元伶一)
- 22 大奥(よしながふみ)
- 23 スカイハイ(高橋ツトム)
- 24 虚構推理(片瀬茶柴、城平京)
- 25 血潜り林檎と金魚鉢男(阿部洋一)
- 26 居酒屋魔法少女よだれとなみだ(3キログラム)
- 27 寿司 虚空編(小林銅蟲)
- 28 スミレ♡16歳!!(永吉タケル)
- 29 めだかの学校(森ゆきえ)
- 30 出落ちガールー鈴木小波短編集(鈴木小波)
- おわりに
1 こころ オブ・ザ・デッド〜スーパー漱石大戦〜(夏目漱石、架神恭介、目黒三吉)
題名がもう面白くてずるいです。
この漫画は、夏目漱石の「こころ」を原作としたゾンビアクション漫画、
と言っても、おそらく全く意味が分からないでしょう…。
百聞は一見にしかず、ということでぜひ下記のリンクから第1話を読んでみてください。
一応「こころ」を原作にしており、、「私」、「K」、「先生」などお馴染みの人物が登場し、ストーリーも「こころ」をなぞっている部分が伺えます。
しかし、原作を「アメイジング翻案」しているというだけあって、中味はゾンビアクション。大分原作とは異なります。
例えば、「私」は、駆け出しのゾンビハンター、格好は、モヒカンにホッケーマスクにチェーンソー。また、「先生」と「K」はそれぞれ柳生新陰流、小野派一刀流の使い手です。
(また、スーパー漱石大戦というだけあって、「坊っちゃん」をはじめ、夏目漱石の他の作品のキャラクターも登場します。)
アオリには、「精神的に向上心のないゾンビは馬鹿だ!!」。
読み切りの一発ネタならまだしも、これはれっきとした連載もの。
この設定・企画を考えた人は天才ではないでしょうか。
こころ オブ・ザ・デッド~スーパー漱石大戦~|コミック アース・スター
2 Back Street Girls(ジャスミン・ギュ)
主人公は、ヤクザの3人。
彼らが、あるミスの落とし前をつけるため、親分の気まぐれで、全身整形・性転換をした上でアイドルをやらされる、というコメディ。
意外にも可愛くなって人気の出てしまった彼(女)ら(グループ名ゴクドルズ)。
そんなゴクドルズの3人が、むちゃくちゃな注文をしてくる親分に振り回されたり、何も知らないマネージャーがおっさんくさいアイドルに困惑するあたりが笑えます。
中味の人格がヤクザのおっさんだと思うと、主人公の3人(見た目は下記の画像のとおり、可愛いアイドルそのもの)が、アイドルらしく笑顔を振りまいたり、「ラブラブピョンピョン」しているだけで、面白い。
可愛い顔の背景にうっすら元の顔が浮かぶ描き方(下記画像参照)は、何度されてもじわじわ来ます。
作中のアイドルソングも、「恋のサカズキ」など極道を暗示した歌詞になっており、よく歌詞を読むと大分物騒。
設定だけだと出落ちっぽい気もしないでもありません。
しかしながら、現在5巻まで発行されており、一定の面白さをキープしてます。
ゴクドルズ被害者の会の動向など今後の展開が楽しみな漫画の一つです。
(全身整形・性転換しているので見た目はアイドルですが、中味は背景のヤクザです。Back Street Girls第1巻)
3 サツリクルート(MITA、吉宗)
能力バトル×就活 マンガ。
能力バトル漫画は数あれど、就職活動と絡めた漫画はこれくらいではないでしょうか。
大恐慌によって国家が四大財閥に支配された世界。
主人公が、不採用なら死亡という条件で、悪魔と取引をし、特殊能力を獲得、この能力と頭脳を駆使して就活を勝ち抜いていくストーリー。
くわしくはこちら。
4 戦隊グリーンは目立たない(にがだんこ)
戦隊ヒーローの中でも目立たないグリーンが主人公の日常コメディ。
怪人に襲われる子どもを助けに行っても、レッドが良いと怪人にも子どもにも嫌がられ、握手会ではグリーンのところだけ閑古鳥…。
そんなグリーンの日常が切なくて面白い。
あえて戦隊モノのグリーンに着目しているところが好きです。
5 異能力バトルロイヤル(艮田竜和)
一般人が集められ、一つずつ特殊能力を与えられてバトルロイヤル、というありがちなストーリー。
しかし、特異なのは、主人公の能力。
それは、「わりばしをきれいに割ることのできる能力」。
数多の能力バトル漫画の中で、主人公の能力の第一印象としては最弱な感じがしますね。
残念ながら、更新が止まったままで、作者のホームページも消えてるようです。
6 妄想食品館(ドングリ)
食べ物×食べ物で、擬人化せずに、エロ漫画風の妄想が繰り広げられる漫画。
ちくわの穴がどうこうとか、ドーナツの穴がどうこうとか、そんな感じの漫画です。
百歩譲って擬人化されていればまだ理解できるのですが、擬人化されないままでやるのがすごい。
「人類には早すぎる」漫画といわれる所以です。
BLなんかだとジャンルとしては珍しくないのでしょうか…。
7 暗殺教室(松井優征)
マッハ20で動く超生物の先生を、生徒みんなで暗殺しようとする青春学園コメディ。
魔人探偵脳噛ネウロもそうですが、類似作のないオリジナリティあふれる漫画を描かれる方だと思います。
8 オーシャンまなぶ(戸塚たくす)
肉体的な暴力が意味をなさず、口喧嘩で精神的ダメージを与えることによって相手にダメージを与えられる、という世界設定。
「言葉の暴力」が文字通り実現されています。
高度な頭脳戦が繰り広げられたり、壮大にストーリーが展開したりするところが魅力です。
9 ゼクレアトル〜神マンガ戦記〜(戸塚たくす、阿久井真)
主人公カン太が、自分は漫画の主人公だと知らされる設定。
映画トゥルーマン・ショー的な感じですね。
こういう設定を「第4の壁を破る」とも言ったりするようです。
ギャグやコメディ漫画だとそこそこありますが、シリアス寄りの漫画だと珍しい設定ではないかと思います。
アメコミだとデッドプールなどがそうですね。
終盤には、内輪のトラブルがあったりして、展開については賛否が分かれるところですが、私は好きです。
10 超弩級少女4946(東毅)
ヒロインの身長が49m46cmのラブコメ。
「富士山さんは思春期」とか「ラブ☆コン」など身長高めの女性が出てくる漫画はありますが、あくまで常識の範囲内。
この漫画のヒロインはそういうレベルではありません。
巨大な女性キャラというと、バトルものだと「七つの大罪」のディアンヌや「僕のヒーローアカデミア」のMt.レディなど有名どころにもそれなりにいますが、ラブコメは珍しい気がします。
逆に、ヒロインが身長15cmなのは「南くんの恋人」がありますね。
11 不死身ラヴァーズ(高木ユーナ)
ヒロインに想いが通じた瞬間にヒロインが世界から消えてしまう、というSFっぽさもあるラブコメ。
全力で恋をする主人公に好感が持てます。
12 かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜(赤坂アカ)
心理戦・頭脳戦によって、全力で相手に告白させようとするラブコメ。
頭脳戦というほど毎回高度なことをやっているわけでもないですが、恋愛沙汰における駆け引きを頭脳戦になぞらえたのは上手いと思いました。
単純にキャラも魅力的です。
なお、この系統のタイトルの歴史については、以前、記事を書きました。
13 聖☆おにいさん(中村光)
キリストとブッダが共同生活する漫画。
何はともかくその発想がすごい。
仏教やキリスト教の知識があると小ネタも含めて楽しめるのでしょうが、詳しくなくても雰囲気で楽しめます。
14 ノー・ガンズ・ライフ(カラスマタスク)
主人公の首から上がリボルバーという思いきったデザイン。
それだけ聞くとコメディのようですが、中味はシリアスなSF×ハードボイルドです。
「これだからガキと湿気は嫌いなんだ」のセリフにシビれます。
15 紺田照の合法レシピ(馬田イスケ)
高校生の暴力団員が主人公の料理漫画。
グルメ漫画は数あれど、わざわざレシピに合法と断りを入れる漫画はこれくらいのものでしょう。
「野菜界のリボルバー」(レンコンのこと)や「くく…大葉は合法ハーブの中でもとびきり最高だ」などなど一々面白い。
16 北斗の拳 イチゴ味(武論尊、原哲夫、河田雄志、行徒妹)
原作の見た目はそのままにしつつ、キャラは完全に崩壊しています。
最近は、二次創作的なスピンオフを公式がやることも多いですが、初見で一番笑ったのはこの漫画です。
17 サトラレ(佐藤マコト)
一般的に、サトリは、人の心のうちを読み取れる能力者のことをいいます。
一方、この漫画の「サトラレ」はその逆。
自分の考えていることが周囲の人間に筒抜けになってしまいます。
単純な設定ながら、この設定から様々なドラマが展開されるのが素晴らしいです。
18 イマドキ☆エジプト神(美影サカス)
イマドキ☆エジプト神 - 無料マンガサイト pixivコミック
エジプトの神々が現代に降臨する四コマ。
全体的にシュールな感じです。
19 不死の猟犬(八十八良)
たとえ死んでも復活できる世界。
そんな世界で感染すると復活できなくなる感染症が流行する。
もうこの設定だけで面白そうですし、感染の条件もなかなかです。
ジャンルとしては、スプラッター・ガン・アクション。
20 THE PENISMAN(石田スイ)
アルファベットにしてもそのタイトルはダメだろ…という気がしますが、中身もわりとそのままです。
主人公は、首から上が男性のアレそのものなヒーロー。
しかも、怪人を倒すと、白くてどろりとした液体をかけます。
設定だけ見ると、とても東京喰種と同じ作者とは思えません。
(よく読むと通底するところはありますが)
こんな内容が描けるのはweb漫画ならではでしょうか。
ストーリーも、通り一遍のコメディ寄りアクションというわけではなく、一筋縄ではいかない展開になっています。
ストーリー半ばで更新が途絶えているのが残念です。
21 国民クイズ(加藤伸吉、杉元伶一)
経済成長を続け、全体主義国家となった日本を舞台としたディストピア漫画。
テレビ番組「国民クイズ」に出場し、クイズに答えて合格すれば、どんな願いでも国家権力をあげて叶えてくれる世界になっています。
風刺の効いたストーリーも良いですし、番組の合間に挟まれるCMも面白い。
22 大奥(よしながふみ)
感染症により、男性が激減した世界における男女逆転した大奥を描く物語。
単に男女逆転させたというだけでなく、きちんと男性激減による社会への影響も描かれているところがSF的な印象です。
日本史は詳しいとフィクション的な部分とノンフィクション的な部分をそれぞれ楽しめそうです。
23 スカイハイ(高橋ツトム)
事故に遭ったり、殺されたりした人間が死後訪れる「怨みの門」。
そこでは、天国に行くか、現世を彷徨い続けるか、他人を1人呪い殺して地獄に行くかを選ぶことができる、という設定。
それぞれの人間の選択とそれに纏わるドラマが魅力です。
24 虚構推理(片瀬茶柴、城平京)
ジャンルとしては、伝奇ミステリかつラブコメと言えば良いのでしょうか。
この作品ばかりは、設定を語るとわりと重大なネタバレになるので詳細は伏せます。
世界観としては、一般人には通常は見えないながら、妖怪が普通に存在する世界観。
事件の真相が分からなかったら、地縛霊に聞いてしまえば良かったりします。
そんな世界観でミステリは成立するのか?
原作が本格ミステリ大賞を受賞しているとおり、この作品では、見事にミステリが成立しています。
前述のとおり、詳細は書きませんが、タイトルどおり「虚構推理」を繰り広げる展開がアツいです。
ミステリ要素も充実する一方で、キャラクターも魅力的。
見た目はともかく、言動はややヒロインらしからぬヒロイン、怪異たちの知恵の神、琴子(下記画像参照)をはじめ、魅力的なキャラクターが揃っています。
(見た目はヒロインらしいヒロイン。虚構推理第1巻)
25 血潜り林檎と金魚鉢男(阿部洋一)
頭が金魚鉢になっている吸血鬼、金魚鉢男。
彼に血を吸われると、人は金魚になってしまう。
被害者を救えるのは、被害者の「血に潜る」という「血潜り」だけ…、
という設定。
ジャンルとしては、ホラー+アクション?
独特の設定・世界観が読み手を引きつけます。
26 居酒屋魔法少女よだれとなみだ(3キログラム)
強くなりすぎた魔法少女(といっても20代後半)の2人が、居酒屋で管を巻く漫画。
魔法少女モノのパロディは多いですが、これがトップレベルに好きです。
ボディビルダーが魔法少女になる「魔法少女プリティ☆ベル」も良いですね。
27 寿司 虚空編(小林銅蟲)
とてつもなく大きな数を追い求める漫画。
無量大数とかグーゴル(googleのネーミングの元ネタ)とか宇宙に存在する分子の数とかそういうレベルをはるかに超える大きな数、巨大数に関する漫画です。
正直、半分くらいしか理解できていませんが、とにかくスゴさが伝わってくる漫画です。
28 スミレ♡16歳!!(永吉タケル)
転校生の女子高生は、おっさんの操るふの人形だった!というギャグ漫画。
笑いあり感動ありの作品ですが、設定の勝利な感があります。
29 めだかの学校(森ゆきえ)
先生の頭が魚。
しかも、魚の頭部ではなく、頭から尾ビレまであります。
作者のブログで10年後を描いた漫画が読めます。
30 出落ちガールー鈴木小波短編集(鈴木小波)
秀逸な設定と出落ちは紙一重ということで、この短編集です。
設定だけ見ると、まさに出落ち!という感じの話ばかりですが、話を読むときちんとストーリーが成立していて、決して出落ちの尻すぼみには終わりません。
おわりに
これ以外にもオススメの作品があればぜひ教えてください!
その他のオススメ記事はこちら。
特撮オタク漫画「トクサツガガガ」が面白すぎる5つの理由
「トクサツガガガ」(丹羽庭)は、現在連載中の漫画の中で、トップレベルで好きな漫画です。
今回は、トクサツガガガのどこが面白いか、魅力的か、というところを書いていきたいと思います。
なお、致命的なネタバレはしないようにしていますが、若干のネタバレを含みますので、ご注意ください。
公式サイトはこちら。第1話が試し読みできます。
1 特撮オタクの日常や特撮の技術が面白い
トクサツガガガの主人公、仲村叶(かの)は、特撮オタク(特オタ)の26歳独身女性(下の画像参照)。
「特撮(特殊撮影技術)」について、作中では、「ヒーロー、怪人、怪獣、ロボットなどが活躍するアレ」などと説明されていますが(第1巻)、主人公の仲村は、特に戦隊モノなどが好きなようです。
トクサツガガガは、この「特オタ」の日常を描いたコメディですが、この日常描写がなかなか興味深い。
正直言って、私は、特撮にはそこまで興味がなくて、知識もありません。
なので、この漫画を楽しめるか不安だったのですが、特撮に興味がない人にも分かるように解説・描写がされているので、心配は全く要りませんでした。
例えば、
・戦隊モノは、一年番組のため、自分が子どもの頃に見ていた番組を挙げると年齢が簡単に割れる、とか、
・ヒーローショーは「ブ厚い」とか、
・特典DVDは本編と直結しないのでやりたい放題の内容とか、
興味がなかった私でも、興味がなかったなりに、「なるほどー」と思ったり、面白かったりする内容がいっぱいです。
〇〇オタク漫画というと、〇〇オタク中心をターゲットにしているもの(主に〇〇オタクだけが楽しめるもの)と、そうでないものがありますが、この漫画は後者だと思います。
(もちろん、特撮に詳しい人が読んだらより楽しめると思います。)
特撮ネタに限りませんが、作者が、詳しくない人にも分かりやすく説明する能力に長けているのだと思います。
また、特オタといっても、会社では、それを隠している仲村。
そのため、同僚とのカラオケで特撮系の歌を歌いたいが、引かれるのが怖くて歌えない、とか、よく利用するカプセル台(ガチャガチャ)の近くに人気カレー店が出来て利用しづらくなった、など、隠れ特撮オタクならではの数々のトラブルが発生。
これらの出来事をなんとか乗り切ったり、乗り切れなかったりする日常が描かれ、これがなかなか笑えます。
さらに、特撮に関する漫画だけあって、時々特撮技術の解説が出てくるのですが、これが興味深い。
限られた予算・時間・技術の中で、視聴者をいかに楽しませるか、というための工夫の数々に感心させられます。
特撮技術とストーリーがリンクしていたりするのも、面白いところです。
(特撮オタクの主人公・仲村の日常が描かれる。トクサツガガガ第1巻)
2 特撮だけではないあるあるネタ
特撮オタク漫画といっても、あるあるネタ的な描写は、特撮オタクだけには止まりません。
1で書いた隠れ特撮オタクならではの出来事も、ある意味、隠れオタクあるあると言っていいでしょう。
また、「オタク仲間との関係性が説明できない」「趣味が一緒だと分かっても、相手のディープ度が分からなくて探り合いになる」といったオタクあるあるなども色々登場します。
さらに、他にも男性アイドルオタクあるある、子育てあるある、海外アーティストあるある(?)などなど、どこかしら、読者が共感できたり、感心したりする「あるある」が散りばめられているのが良いところの1つです。
3 キャラクターが魅力的
登場するのは、主人公の仲村だけではありません。
準レギュラー的に色々な人が登場します。
例えば、仲村と同様に特撮が好きな男子小学生、通称ダミアン。
ちょうど特撮を卒業するかしないかくらいの年齢での葛藤があったり、ほのかな恋心を抱いたり、毎回あいだみつを風に名言を残したり、となかなか良いキャラをしています。
他にも、
仲村の特撮好きを毛嫌いする姿勢を見せる同僚(北代さん)、
仲村と同じ特撮オタクの年上女性(吉田さん)、
強面だけど、魔法少女モノが好きな男性(通称・任侠さん)、
男性アイドル好きな女子大生(みやびさん)などなど、
個性的かつ魅力的な準レギュラーがたくさん登場します。
これらの登場人物たちの掛け合いや関係性の変化も見所の一つとなっています。
4 作中作が面白そう
また、作中に出てくる特撮は、すべて架空の作中作。
それがいずれも面白そうなのです。
よく登場するのは、作中で放映中という設定の「疾風怒濤 ジョウシュウワン(獣将王)」(動物モチーフ。上の画像参照。)や仲村が子どもの頃に観ていた「救急機エマージェイソン」。
ジョウシュウワンは、動物モチーフでオリエンタルな要素も含む戦隊モノ。
おそらくそのままの元ネタはないんでしょうが、戦隊モノでありそうな設定・ストーリー展開・セリフが詰まっています。
いずれの作中作についても、作者もそこまで深く設定を詰めているわけではないようです。
それでも、断片的に描かれるエピソードや決め台詞・シーンの見せ方が上手いので、作中作がとても面白そうに思えてきます。
作中作の映画「絡繰(からくり)忍者 雷伝」なんて、初登場時はほとんどストーリーが不明でしたが、決めのシーンは非常にかっこよく、架空の作品ながら映画を観に行きたくなりました。
5 毒親的な母親とのエピソードが現実的
主人公・仲村には、母親との確執的なものがあります。
仲村の母親は、「女の子らしい」ものが大好き。
それを娘にも押し付けるようなところがあり、小さい頃から仲村の特撮好きを良く思っていませんでした。
それが高じて、幼少期にある大変な事件が起きたりして(詳しくは漫画をお読みください)、仲村の母親にはやや毒親的な要素があるのです。
その後、仲村は母親に隠れて特撮を楽しむようになり、現在に至ります。
いまでも母親は、仲村に対して、「女性らしい」服を着せようとしたり、結婚はまだかとしつこく言ったりしていて、2人の間には確執めいたものがあります。
この確執が果たしてどうなるのか、というエピソードが作中でいくつか描かれます。
詳しく書くのはネタバレになるので避けますが、母親だけが悪者でそれをやり込めるとか、安易に両者が和解するとか、そういうありがちで現実離れした話になるのではなく、比較的現実的な落としどころが示されるのが素晴らしいと思っています。
6 終わりに
表現力の無さゆえに、あんまり良さが伝えられていませんが、とにかくオススメの漫画なので、ぜひ読んでみてください!!
特撮といえば、こちらの漫画もオススメです。
(そういえば、トクサツガガガでは、仮面ライダーやウルトラマンをモデルとした作品は直接登場していない気がします。権利関係の問題でしょうか。)
その他のオススメ記事はこちら。
後味が悪い/モヤモヤする/憂鬱になる漫画のおすすめ15作品+α
大団円のハッピーエンドも良いですが、時々後味の悪い漫画も読みたくなります。
そんなときにオススメの漫画をあげてみました。
「後味が悪い」という選び方の性質上、漫画の紹介の際にネタバレを含みますので、ご注意ください。
また、一部に過激な暴行の描写・性的描写等がありますので、苦手な人は読むのを避けた方が良いと思います。
- 1 闇金ウシジマくん/真鍋昌平
- 2 金魚王国の崩壊/模造クリスタル
- 3 ブラッドハーレーの馬車/沙村広明
- 4 特攻天女/みさき速
- 5 空が灰色だから/阿部共実
- 6 四丁目の夕日/山野一
- 7 ミスミソウ/押切蓮介
- 9 少女椿/丸尾末広
- 10 人間仮免中/卯月妙子
- 11 失踪日記/吾妻ひでお
- 12 ぼくらの/鬼頭莫宏
- 13 東京闇虫/本田優貴
- 14 ギャングース/鈴木大介・肥谷圭介
- 15 東京タラレバ娘/東村アキコ
- 16 打ち切り・夢オチタイプ
1 闇金ウシジマくん/真鍋昌平
闇金業者のウシジマくん(丑島馨)のヤミ金業やその周辺の出来事が描かれる漫画。
風俗嬢、フリーター、モデル、タクシー運転手、サラリーマンなど色々な客が登場するが、大体は悲惨な目にあいます。
必ずしも、勧善懲悪的というわけでもなく、何も非がない人が悲惨な目にあったり、悪人が旨い汁を吸って終わったりということも…。
普通の生活を送っていた人が、ひょんなことから闇金に手を出してしまって転落していこところがとても怖いです。
また、頭のネジが外れたような面々が時々登場し、こんな人達に絡まれたらもうどうしようもないな、という意味でも怖いです。
さらに、貧困から抜け出す難しさなんかも感じられて、読んでいて暗くなるところがあります。
(順風満帆だったはずのギャル男も大変な目にあうことに…。闇金ウシジマくん第3巻)
2 金魚王国の崩壊/模造クリスタル
web漫画。
生き物を愛するあまり、肉が食べられなくなった少女が主人公。
有名なバッタのエピソードなど、読んでいてやるせなくなります。
3 ブラッドハーレーの馬車/沙村広明
近代の西洋が舞台。
各地の孤児院から集められた孤児で構成される、ブラッドハーレー聖公女歌劇団。
貴族ブラッドハーレー家の養女となって歌劇団に入ることは、全国の孤児の憧れだった。
しかし、その実態は…という話。
全体的に救いがなく、読んでいて非常につらいです。
全一巻ですが、中味は非常に濃いものになっています。
4 特攻天女/みさき速
ヤンキー(レディース)漫画。主人公は特攻隊長(中学2年生)。
後味が悪い・胸糞が悪い作品として時々挙げられることがあります。
登場人物が、
カップルを誘拐→強姦→彼氏の方に「彼女を助けたいなら自殺しろ」と言う、
ということを繰り返していたりすること、
重大な犯罪を悪事として描いてないと受け取る人がいること、
あたりがその要因と言えそうです。
5 空が灰色だから/阿部共実
1話完結のオムニバス形式。
キャッチコピーは、「“心がざわつく”思春期コミック」。
1年前の甲子園での挫折により、野球部の練習から離れていた野球部の元エース、涼。
涼の幼馴染の女の子、若葉は、涼のためを思って叱咤激励する。
その結果、見事、涼は立ち直り、甲子園出場に近づいていく。
ハッピーエンドと思いきや…
という第18話「信じてた」など、うまく物事がいかなかったり、主人公が報われなかったりする話が多く収録されています。
キャッチコピーどおり、まさに「心がざわつく」漫画です。
他にあげた漫画に比べると、描写は相対的に穏やかかもしれません。
同じ作者の「ちーちゃんはちょっと足りない」もなかなか読んでてツラい漫画です。
(そういえば、これも人名+ない型のタイトルでした。
「◯◯(人名)は××ない」式のタイトルの歴史 - 今にも崩れそうな本棚の下で)
6 四丁目の夕日/山野一
タイトルは「三丁目の夕日」のパロディですが、内容は、大違い。
主人公を不幸に次ぐ不幸が襲う内容です。
悲惨な目にあって追い詰められていく主人公を見ているのが非常につらい…。
7 ミスミソウ/押切蓮介
同級生達から、いじめというには酷すぎるいじめを受けた少女が行う復讐劇。
いじめ自体の内容も衝撃的ですし、その後の展開も凄惨です。
8 校舎のうらには天使が埋められている/小山鹿梨子
こちらもイジメ系。
人見知りで口下手な小学生理花。
転校に際し、友達ができるか不安だった理花だったが、かわいくて勉強もできる蜂屋あいを始めとしたクラスの皆は、理花を優しく迎え入れる。
過去に愛犬を亡くしたという蜂屋あいに対し、理花は、自分が代わりに元気付けると言うが…。
可愛らしい絵柄やキャラクターと対照的に、イジメの内容はなかなかエグいです。
もはやイジメではなく犯罪レベル。
イジメをやめさせようとしたりする子も出てくるのですが、その後の展開がまたきつい…。
第1巻を読んだときから「すごい漫画を読んでしまった」という思いでした。
別冊フレンドに連載されていたというのが信じられないくらい。
青年誌連載と言われた方が自然に感じられます。
続編の「校舎の天では悪魔が嗤っている」はweb漫画。
女子高にたった1人の男子生徒が編入するという設定。
設定だけだとハーレムラブコメのようですが、はたして…?
以下から一部を読むことができます。
(この絵からは信じられないイジメの描写です。校舎のうらには天使が埋められている第1巻)
9 少女椿/丸尾末広
エログロ系というんでしょうか。
2016年5月に実写映画化されました。
母親と二人暮らしをしていた12歳の少女みどり。
ある日、みどりが帰宅すると母親が亡くなっていた。
(この亡くなり方が、また体内からネズミに内臓を食い破られるという無惨なもの…。)
孤独になってしまったみどりは、見世物小屋の主人に騙されて、見世物小屋の下働きにさせられてしまう。
そして、みどりは、見世物小屋の芸人達に虐げられる毎日を送ることに…。
その後、色々あって、みどりは幸せを掴みそうになるが…という話。
絶望の中で一縷の希望が見えるが、それも潰える、という展開は、絶望一辺倒よりさらにつらいですね。
10 人間仮免中/卯月妙子
統合失調症を抱える作者の自伝的マンガ。
波乱万丈すぎる人生も凄いですし、統合失調症の症状の描写も恐ろしいです。
ノンフィクションは、フィクションとまた違った怖さがありますね。
2016年12月12日には、続編である「人間仮免中つづき」が出版されます。
11 失踪日記/吾妻ひでお
ノンフィクション系をもう1つ。
漫画家が嫌になった作者が、ホームレス生活をしたり、アル中になったり、精神病院に入ったりした経験を描くエッセイ漫画。
絵柄はほんわかしていますが、内容はなかなか悲惨・過酷です。
12 ぼくらの/鬼頭莫宏
巨大ロボットを操作して、主人公である子どもたち地球を守る為に戦う。
ここまではよくありそうな設定ですが、
・戦う相手はパラレルワールドに住む人間
・負けた側の宇宙は消滅する
・ジアースの動力はパイロットの生命力なので、勝ってもパイロットは死ぬ
という設定が秀逸で、見事に作品を暗いものにしています。
同じ作者の「なるたる」もかなりの憂鬱漫画です。
13 東京闇虫/本田優貴
借金まみれの主人公が、ある日、突然、拉致される。
目を覚ました後は、借金の返済と引き替えに違法な仕事をさせられて…というストーリー。
裏の世界や違法な仕事を描くという方向性としては、闇金ウシジマくんと似ているかもしれません。
「人生で最も選びたくないシナリオ」というキャッチコピーには同意せざるを得ないですね。
14 ギャングース/鈴木大介・肥谷圭介
少年院を経験した3人組が、犯罪者をターゲットにした「タタキ」(強盗・窃盗)をしていくストーリー。
そこまで暗い雰囲気はないですが、3人組の過去話や少年院出身者・貧困家庭あるある的な話には考えさせられます。
原案は、「家のない少年たち」というノンフィクションなので、フィクションながら事実としての重みが感じられます。
15 東京タラレバ娘/東村アキコ
大分他の漫画とは毛色が違いますが、読者の状況によっては、これが一番読んでいてダメージ を負うかも…?
主人公ら3人は、アラサー(33歳)の独身女性で親友同士。
「あのときこうしていタラ……こうしていレバ…」などと言っているうちに、独身のまま来てしまった3人は、果たして東京オリンピックを独り身で観ることを回避できるのか…的なストーリー。
思い当たるところがある人にはとことん憂鬱になる漫画かもしれません…。
2017年にはドラマ化します。
16 打ち切り・夢オチタイプ
突然の打ち切りで作者が不満を露わにしている作品や、長期連載したあげく夢オチの作品には、モヤモヤさせられます。
あまりにもネタバレが過ぎるので、タイトルをあげるのは避けておきます。
以上の15作品、あえてこういうタイプの作品を読みたいときには、ぜひ読んでみてください。
※なお、後味が悪い・モヤモヤする・憂鬱になる漫画、というとネガティブな印象もありますが、そういう感情を引き起こすことも良い意味での作品の力だと思っています。
この記事では、後味が悪い等の言葉を、決して作品を貶める意味で使っているわけではありません。
また、当然ですが、読後感などは個人差があり、後味の悪さなどはあくまで私個人が感じているものですので、その点ご了承ください。
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マンガで気になるルビの使い方
マンガを読んでいて気になった、ルビの使い方の話をしたいと思います。
マンガのセリフで、「本気」と書いてあって「マジ」と書いてあった場合、キャラクターが音として発声しているのはどちらの言葉でしょうか?
通常は、キャラクターが音として発声しているのは「マジ」であり、「本気」はその意味を読者に説明するために書いてあるのだと思います。
(ルビの対象となる元の文字を親文字と言うようですが、あまり聞き慣れない言葉なので、以下「本文」と記載します。)
ところが、例えば、「闇金ウシジマくん」ではこれが逆になることがあります。
「10日5割」と書いて「トゴ」のルビ、「身柄」と書いて「ガラ」のルビを振っている場合。
これは通常の使用法どおり、各キャラクターは、音としてはルビの音(例えば、トゴ)を発しており、本文は、その意味内容を表しているケースだと思われます。
他方、「アシバー」と書いて「遊び人」のルビ、「ギミック」と書いて「仕掛け」のルビ、「特商法」と書いて「特定商取引法」のルビがふられていることがあります。
これらの場合は、通常とは逆に、各キャラクターが音として発声しているのは、本文の言葉であり、ルビの方が意味内容を表しているのではないかと思います。
似たようなケースでは、ドリフターズにおいて、主人公島津豊久が音として発声しているであろう薩摩弁が本文に記載され、それを標準語に翻訳(?)したものがルビになっています。
以前、以上のようなルビの使い方が気になる、ということを、はてな匿名ダイアリー(増田)に書いたところ、脚注や補足みたいな使い方なのではないか、という指摘をいただきました。
たしかに、注釈であれば、本文より小さな文字で書くことがありますから、注釈がルビにまわり、キャラクターが音として発声している言葉が本文になるというのは納得できます。
wikipediaでも、ルビは「文章内の任意の文字に対しふりがな/説明/異なる読み方といった役割の文字をより小さな文字で」記すもの、とされており、上記の用法は、説明の文字を記載しているケースといえそうです。
ただ、闇金ウシジマくんの例のように、同一作品でルビを正反対の使用法で使われると、読んでいてちょっと引っかかることがあるんですよね…。
前後の文脈や単語から言って、どちらの使用法かは分かることは分かるのですが、一瞬ストーリー外のことに気をとられると、読んでいる途中の没入感みたいなものが削がれるような気がします。
ルビについて気になることがもう一点。
本文とルビの意味がほとんど関係ないパターンです。
例えば、ハンターハンターにおける「神の左手悪魔の右手(ギャラリーフェイク)。
盗賊の極意(ハンターズスキル)などは意訳の範囲でしょうが、ギャラリーフェイクに至っては、ルビと本文がほとんど関係ない、というか別のマンガ2作品のタイトルです。(念能力の内容や実際にやってることを考えれば、関係はあるとはいえばありますが。)
念能力という固有名詞なので、何でもアリといえばアリですが、あの世界のキャラクターはルビの部分を発声しているのか、本文の部分まで含めて自分で考えているのか、本文の部分は他人に伝えてるのか、などよく分からない部分です。
(アニメでは、例えば天空闘技場の実況が両方読んでいた気がします。)
皆さんはどのように考えて読んでいるのでしょうか?
また、東京喰種Reなどで見られるのが、本文とルビに一見真逆のことが書いてあったりするパターンです。
例えば、本文は「平和的解決」で、ルビが「一方的虐殺」など。
これに至っては、実際にそのキャラが発声したのはどっちなのかよく分かりません。
このケースや同作品の「おかわりちょーだい」のケースについては、発言しているキャラクターの個性や演出面から言って意味があるので良いとは思うのですが、読んでいて少し引っかかるところでした。
最後に、「疾風伝説 特攻の拓」の有名なセリフ、「“事故”る奴は…“不運(ハードラック)”と”踊(ダンス)”っちまったんだよ…」については、「ダンスっちまった」と発声しているということだ良いのでしょうか…?
ちょっと不思議な感じです。
以上、ルビについて、普段気になるところを書いてみました。
※この記事は、以前、はてな匿名ダイアリーに書いた日記を再構成し、加筆したものです。
終末・絶望・ディストピアと隣り合わせの日常を描く漫画など
終末や悲劇が間近に存在しつつ、一見普段と変わらないような日常を送る、という漫画が多いような気がします。
もともと終末モノというのは、ジャンルとして確立されていますし、気のせいかもしれませんが…。
仮に上記のような作品が多いのだとすると、東日本大震災以降の日本の状況・空気が影響しているのかもしれません。
終末と隣り合わせの日常というと、「心地よい破滅」というのが少し似た概念です。
「心地よい破滅」とは、wikipediaによると、
「我々の文明が崩壊し、一握りの生存者を除いてばたばたと人が死ぬ絶望的な状況にもかかわらず、主人公ら生存者たちは遠く離れた安全地帯にいて災厄を傍観していたり、無人の都市で残されたぜいたく品をあさるなどある面で楽しい冒険をしたりし、最終的には自分たちの文明観をもとにささやかなコミュニティを再建して、破滅の起こった原因や文明が滅んだ原因に対して達観した立場から考察を加える、というもの」
とのこと。
ネビル・シュートの小説「渚にて」は、この「心地よい破滅」の小説の一つのようです。
なぎさにて(新井英樹)
タイトルは上記の小説からとられたものだと思われます。
人類発祥の地ケープタウンに突然生えた巨大な豆の木。
この木が破裂し、その樹液(サップ)を浴びた半径20km圏内の人々は即死。
サップを浴びなかった周囲の人々も、土地に染み込んだサップの影響か癌などで大量に死亡した。
豆の木は、人類の広がりをなぞるように全世界に広がりはじめ、やがて、日本にも出現した、というストーリー。
いつの日か豆の木が破裂して世界が終わりになる予感を持ちながら、主人公の女子高生渚は、「今日一日を、瞬間瞬間を100%で生きよう」と決意する。
そんな渚と家族の物語。
分かりやすく人類がパニックになるわけではなく、戸惑いながらも状況を受け入れたり、諦めたり、少しおかしくなったりするところが震災後の日本的に思えます。
(世界の終わりと隣り合わせの日常。なぎさにて・第1巻)
デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション(浅野いにお)
上記の記事でも挙げましたが、デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション。
突如、東京の上空に「母艦」と呼ばれるUFOが到来し、そこから小型の宇宙船に乗った「侵略者」と呼ばれる攻撃が始まる。
侵略者は、米軍によって迎撃され、いまでは自衛隊と侵略者との小規模な戦闘が起きるだけになった世界。
この世界を舞台にした2人の少女の「デストピア青春日常譚」。
母艦襲来が8月31日で「8・31」と呼ばれたり、米軍の爆弾によって「A線」の汚染が取り沙汰され、避難する人が出たりと東日本大震災を想起させる内容も多いです。
(空に巨大なUFOが常駐する日常。デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション・第1巻)
あげくのはてのカノン(米代恭)
ゼリーと呼ばれる異星人の侵略が進む世界での「無軌道SFラブストーリー」。
意中の人の声をこっそり録音したりする、ストーカー気質の主人公による不倫SF漫画です。
終末のハーレム(LINK、宵野コタロー)
上3作とは大分毛色が違いますが…。
ウイルスによって地球上で活動可能な男性が5人になった世界でのSFハーレム漫画。
少年ジャンプ(正確にはウェブ媒体の少年ジャンプ+)にしては内容がきわどいと話題になりました。
少女終末旅行(つくみず)
終末世界を2人で旅する少女の日常。
この世界の片隅に(こうの史代)
最近というほどではないですが、映画化で話題なので挙げました。
戦時の日常というところで共通する部分があるように思います。
誰でもないところからの眺め(いがらしみきお)
震災数年後の宮城県を舞台に、震災後の不安や自己とは何かを描く作品。
震災そのものを描いたものは、フィクション・ノンフィクションともにたくさんあり、原発については、「いちえふ 福島第一原子力発電所労働記」などもありますが、それ以外にも色々な作品が生まれているようです。
震災以前の作品だと「ヨコハマ買い出し紀行」「地球の放課後」なんかが上記の各作品に似た雰囲気かもしれませんね。
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