特撮オタク漫画「トクサツガガガ」が面白すぎる5つの理由
「トクサツガガガ」(丹羽庭)は、現在連載中の漫画の中で、トップレベルで好きな漫画です。
今回は、トクサツガガガのどこが面白いか、魅力的か、というところを書いていきたいと思います。
なお、致命的なネタバレはしないようにしていますが、若干のネタバレを含みますので、ご注意ください。
公式サイトはこちら。第1話が試し読みできます。
1 特撮オタクの日常や特撮の技術が面白い
トクサツガガガの主人公、仲村叶(かの)は、特撮オタク(特オタ)の26歳独身女性(下の画像参照)。
「特撮(特殊撮影技術)」について、作中では、「ヒーロー、怪人、怪獣、ロボットなどが活躍するアレ」などと説明されていますが(第1巻)、主人公の仲村は、特に戦隊モノなどが好きなようです。
トクサツガガガは、この「特オタ」の日常を描いたコメディですが、この日常描写がなかなか興味深い。
正直言って、私は、特撮にはそこまで興味がなくて、知識もありません。
なので、この漫画を楽しめるか不安だったのですが、特撮に興味がない人にも分かるように解説・描写がされているので、心配は全く要りませんでした。
例えば、
・戦隊モノは、一年番組のため、自分が子どもの頃に見ていた番組を挙げると年齢が簡単に割れる、とか、
・ヒーローショーは「ブ厚い」とか、
・特典DVDは本編と直結しないのでやりたい放題の内容とか、
興味がなかった私でも、興味がなかったなりに、「なるほどー」と思ったり、面白かったりする内容がいっぱいです。
〇〇オタク漫画というと、〇〇オタク中心をターゲットにしているもの(主に〇〇オタクだけが楽しめるもの)と、そうでないものがありますが、この漫画は後者だと思います。
(もちろん、特撮に詳しい人が読んだらより楽しめると思います。)
特撮ネタに限りませんが、作者が、詳しくない人にも分かりやすく説明する能力に長けているのだと思います。
また、特オタといっても、会社では、それを隠している仲村。
そのため、同僚とのカラオケで特撮系の歌を歌いたいが、引かれるのが怖くて歌えない、とか、よく利用するカプセル台(ガチャガチャ)の近くに人気カレー店が出来て利用しづらくなった、など、隠れ特撮オタクならではの数々のトラブルが発生。
これらの出来事をなんとか乗り切ったり、乗り切れなかったりする日常が描かれ、これがなかなか笑えます。
さらに、特撮に関する漫画だけあって、時々特撮技術の解説が出てくるのですが、これが興味深い。
限られた予算・時間・技術の中で、視聴者をいかに楽しませるか、というための工夫の数々に感心させられます。
特撮技術とストーリーがリンクしていたりするのも、面白いところです。
(特撮オタクの主人公・仲村の日常が描かれる。トクサツガガガ第1巻)
2 特撮だけではないあるあるネタ
特撮オタク漫画といっても、あるあるネタ的な描写は、特撮オタクだけには止まりません。
1で書いた隠れ特撮オタクならではの出来事も、ある意味、隠れオタクあるあると言っていいでしょう。
また、「オタク仲間との関係性が説明できない」「趣味が一緒だと分かっても、相手のディープ度が分からなくて探り合いになる」といったオタクあるあるなども色々登場します。
さらに、他にも男性アイドルオタクあるある、子育てあるある、海外アーティストあるある(?)などなど、どこかしら、読者が共感できたり、感心したりする「あるある」が散りばめられているのが良いところの1つです。
3 キャラクターが魅力的
登場するのは、主人公の仲村だけではありません。
準レギュラー的に色々な人が登場します。
例えば、仲村と同様に特撮が好きな男子小学生、通称ダミアン。
ちょうど特撮を卒業するかしないかくらいの年齢での葛藤があったり、ほのかな恋心を抱いたり、毎回あいだみつを風に名言を残したり、となかなか良いキャラをしています。
他にも、
仲村の特撮好きを毛嫌いする姿勢を見せる同僚(北代さん)、
仲村と同じ特撮オタクの年上女性(吉田さん)、
強面だけど、魔法少女モノが好きな男性(通称・任侠さん)、
男性アイドル好きな女子大生(みやびさん)などなど、
個性的かつ魅力的な準レギュラーがたくさん登場します。
これらの登場人物たちの掛け合いや関係性の変化も見所の一つとなっています。
4 作中作が面白そう
また、作中に出てくる特撮は、すべて架空の作中作。
それがいずれも面白そうなのです。
よく登場するのは、作中で放映中という設定の「疾風怒濤 ジョウシュウワン(獣将王)」(動物モチーフ。上の画像参照。)や仲村が子どもの頃に観ていた「救急機エマージェイソン」。
ジョウシュウワンは、動物モチーフでオリエンタルな要素も含む戦隊モノ。
おそらくそのままの元ネタはないんでしょうが、戦隊モノでありそうな設定・ストーリー展開・セリフが詰まっています。
いずれの作中作についても、作者もそこまで深く設定を詰めているわけではないようです。
それでも、断片的に描かれるエピソードや決め台詞・シーンの見せ方が上手いので、作中作がとても面白そうに思えてきます。
作中作の映画「絡繰(からくり)忍者 雷伝」なんて、初登場時はほとんどストーリーが不明でしたが、決めのシーンは非常にかっこよく、架空の作品ながら映画を観に行きたくなりました。
5 毒親的な母親とのエピソードが現実的
主人公・仲村には、母親との確執的なものがあります。
仲村の母親は、「女の子らしい」ものが大好き。
それを娘にも押し付けるようなところがあり、小さい頃から仲村の特撮好きを良く思っていませんでした。
それが高じて、幼少期にある大変な事件が起きたりして(詳しくは漫画をお読みください)、仲村の母親にはやや毒親的な要素があるのです。
その後、仲村は母親に隠れて特撮を楽しむようになり、現在に至ります。
いまでも母親は、仲村に対して、「女性らしい」服を着せようとしたり、結婚はまだかとしつこく言ったりしていて、2人の間には確執めいたものがあります。
この確執が果たしてどうなるのか、というエピソードが作中でいくつか描かれます。
詳しく書くのはネタバレになるので避けますが、母親だけが悪者でそれをやり込めるとか、安易に両者が和解するとか、そういうありがちで現実離れした話になるのではなく、比較的現実的な落としどころが示されるのが素晴らしいと思っています。
6 終わりに
表現力の無さゆえに、あんまり良さが伝えられていませんが、とにかくオススメの漫画なので、ぜひ読んでみてください!!
特撮といえば、こちらの漫画もオススメです。
(そういえば、トクサツガガガでは、仮面ライダーやウルトラマンをモデルとした作品は直接登場していない気がします。権利関係の問題でしょうか。)
その他のオススメ記事はこちら。