読み返す度に発見がある。「ワールドトリガー」の魅力 その1
今回は、この漫画の魅力を語りたいと思います。
この記事は、この漫画を読んだことのない人や一度読んだけどピンと来なかったという人に、ぜひ読んでもらいたいと思いますす。
以下、若干のネタバレを含みますので、ご注意ください。
1 あらすじ
28万人が住む三門市に、ある日突然異世界への「門(ゲート)」が開いた。門からは「近界民(ネイバー)」と呼ばれる怪物が現れ、地球上の兵器が効かない怪物達に誰もが恐怖したが、謎の一団が近界民を撃退した。彼ら、界境防衛機関「ボーダー」は、近界民に対する防衛体制を整え、依然として門から近界民が出現するにも関わらず、三門市の人々は今日も普通に生活していた。
門が初めて開いてから4年半後、三門市にやってきた空閑遊真が、三雲修に出会う所から物語は始まる。
(ワールドトリガー - Wikipedia より引用)
序盤のあらすじは上記のとおり。
三雲修(オサム)とその友人、雨取千佳(チカ)、自身もネイバーである空閑遊真(ユーマ)がボーダーに入隊し、ボーダーとネイバーとのバトルなどが描かれます。
(主要キャラ4名は下記の画像のとおり)
そこで、用いられるのは、ネイバーの技術を利用した「トリガー」と言われる武器。
刀剣状のものやライフル状のものがあり、各人が、近接戦闘や狙撃などの役割に分かれて戦います。
(下記リンク参照)
一部に特殊能力持ちはいるものの、量産型の武器によるバトルがメイン。
設定としては、SF的な要素が強く、バトルの描写はサバゲー的な雰囲気もあるところです。
(主要キャラ4名。左から迅、チカ、ユーマ、オサム。ワールドトリガー第1巻)
( ↓トリガーの説明)
2 集団戦の面白さ
よく言われることですが、ワールドトリガーは集団戦なのが面白い。
この漫画で描かれるバトルは、大きく分けて2つ、①ボーダー内部での模擬戦と②ボーダー対ネイバーの戦いです。
①模擬戦については、個人戦とチーム戦があり、中盤以降はチーム戦がメインになってきます。
②については、攻撃に来た複数人のネイバーをボーダー側が防衛する形です。
(今後は逆にボーダーがネイバー側に遠征することも描かれると思われます)
つまり、どちらも一対一よりも、多対多が描かれるわけです。
この集団戦が面白い。
多対多であっても、なぜか結局バラバラに一対一をやる作品とは別の魅力があります。
正直、最初に読んだときは、キャラやトリガーの特性を把握できておらず、何が起きているのかよく分かりませんでした。
なんかごちゃごちゃ内輪でサバゲー的なことやってるなー、くらい。
三つ巴、四つ巴戦のランク戦になると、初見では、よく分からない人も多いのではないかと思います。
しかし、何回か繰り返し読んで行くうちに、キャラの見分けがつき、各トリガーの理解が深まってくると、各人、各チームが何をしようとしているのか、が分かるようになっていきます。
そうなってくると、戦闘描写の一つ一つの意味が分かるようになり、非常に漫画が面白くなってきました。
また、一対一だと、単純に力の差で決着が着くことも多いですが、集団戦の場合、弱いキャラでも、弱いなりに囮の動きをしたり、敵の能力を暴いたりと重要な役割を果たせるのも良いところです。
このあたりの面白さは、私のように初見ではピンと来なかった人でも読み返すと分かってくる場合があると思います。
あんまりハマらなかった人も、ぜひもう一度読み返してみてください。
3 シビアな実力差
主人公(の1人)、オサムは、率直にいって弱いです。
第1話からして、丸腰かつ一対多とはいえ、一般人であるクラスメイトにケンカで負ける始末。
1巻の時点では、わりと雑魚と言って良い敵(バムスター)に苦戦し、また、他の敵(モールモッド)1匹を倒すのに20人のオサムが必要、しかもそのうち18人は死ぬといわれます。
最初は初心者であっても、主人公なら秘められた素質があったり、修行で急成長するのが一種のお約束。
しかし、この漫画では、そうそう都合の良い急成長をすることはなく、一生懸命訓練したり、新たな技を覚えたりしてもあっさり負けたりします。
それは、訓練や工夫に励んでいるのは他の人も同じだから。
そういうシビアなところがこの漫画の良さの一つ。
少しずつ成長していくキャラを応援したくなります。
また、勝ちたい気持ちが強い方が勝つ、のような精神論は作中で明示的に否定されており、適当そうに見えるキャラや性格が悪いキャラでも、強い者は強い、というところも、シビアで面白いところだと思います。
4 「再読性」の高さ
もう一つ、ワールドトリガーの良さでよく言われるのは「再読性」の高さ。
再読性という言葉はあんまり聞きなれないですが、再読に耐え得る、再読すると1回目よりも面白い、といった意味だと思います。
作者もこの言葉を使っており、「再読性」については意識をして漫画を描いているそうです。
漫画全体のキャッチコピー「遅効性SF」や第一巻のキャッチコピー「やがてその意味に気付く物語」はこのあたりの意味を示しています。(コピーについては下記リンク参照)
実際に、ワールドトリガーは、何度も読むと面白さがわかっていきます。
上記の戦闘描写もその一つ。
他にも、連載初期にチラッと出てきたキャラが後で活躍したりして、読み返すときの発見があります。
また、伏線的なものも多いのではないかと思います。
例えば、細かいところでいうと、最新刊17巻では、遠征艇の狭さやボーダー玉狛支部のエンジニアの話が出てきますが、これらは既に3巻で言及されていたりします これを伏線というか単なる設定の先出しというかはともかく、こういう繋がりがあると、再読したときの発見があって楽しいものです。
(↓ポスター化されたキャッチコピー)
以上、ワールドトリガーの魅力でした。
一回の記事では書ききれなさそうなので、またそのうち続きを書きたいと思います。