2018年、心に残った増田24選
増田文学賞2018下半期が開催されたら投票しようと思って、色々ブクマしていたのだけれど、開催される気配がないので記事にしました。
日常・生活部門
誰でも気がつきそうな値段の不整合から、同情を寄せる優しさが良い。
同一労働同一賃金の問題にも、通じるものがあるかもしれない。
内容自体はたいしたことではない。
投稿があったのは、あの事件の数日後。
この頃は、増田の雰囲気もあまり良くなかったような記憶がある。
そんな中で、少し救われた気持ちになった増田とそのブコメ。
子どもの頃のゲームの話を読むと、なぜ強いノスタルジーを感じてしまうのだろうか。
裏技のドキドキ感や後ろめたさも、どこか懐かしい。
SF・ファンタジー部門
「お前、脳みそ入ってんのか?」のフレーズから生まれたんだろうか。
とにかくすごいものを読まされた気になる。
「エカチェリーナ」、「なんでやねん」、「ジュニアハイスクールスチューデント」の並びは、不統一にも見える。
けれも、それがかえって不条理さを際立たせているようでもある。
物語の始まり、あるいは、終わりを感じさせる増田。
こういう、科学とオカルトの境界線上みたいな話は良い。
創作という前提でいうと、もう少し劇的な出来事を入れたくなりそうなところ。
にもかかわらず、特に大事件は起こらない、落ち着いた展開なのも良い。
設定はよく分からないが、不思議な魅力がある。
読者に不親切な話も、たまには良い。
恋愛・性・沼落ち部門
12歳の女の子にうるうるキュンキュンする37歳男性からのお便り
どうしても左側のみさきちゃんの方が気になってしまう。
そこをスルーできてしまうのが「恋は盲目」というやつなんだろうか。
ホストは無理だけどアプリだとOK、という気持ちが少し分かってしまってつらい。
自分はまだ冷静、って言ってる人は大抵冷静じゃない気がするけど、大丈夫かな。
JKを優しく見守る増田もまた尊い。
JKを見る増田、増田を見るブクマカ、それを見るこの記事の閲覧者、という多重構造が、ここにはある。
掲示板の過去ログを読むと、当時の空気感がなんとなく感じられる。
SNS以降は、toggeterにまとめられないような、なんてことのない言葉はそのまま消えていってしまうんだろうか。
あれくらいがニッチな性癖として多くの人間が認識できるラインなんじゃな..
しれっとすごい例が出てくるところが良い。
このレベルになると、もはや身体的な反応がなければ、性的な興奮なのか判別できなさそうだ。
性癖偏差値という雑コピペがあるが、性的なものとの距離感という意味では、上位に入っていてもおかしくない。
当時つけたブコメのとおり(タイトルも内容も、的確っぽいトラバが10分強でついてることも、何もかもが素晴らしい)。
演出部門
はい。
「あまりにも好みの男」の記載が、途中からなくなるのはなぜか、という問題を出して、色んな人の解答を読みたい。
こういう設問(と複数の解答)が成立するのは良い小説だ。
冒頭の段落に垣間見える矜持も良い。
フレーズ部門
「自由に書くのがおれのインターネットだ。」
このフレーズが良い。
なんてことのない一文のようだけど、これを気に入った人は多かったのだろう。
このフレーズを好きだと書いたブコメはトップになった。
SEOやアフィリエイトを意識したインターネットは、綺麗で効率的かもしれないが、どこか窮屈さを感じさせる。
自由に書く。
それが、おれの/わたしの インターネットだ。
ユーモア部門
こんばんは、カマキリのオスです。今まさに愛する妻に食いちぎられている..
今年は、人間以外が増田を書くのが流行っていたようか気がするが、そのうちの一つ。
設定の時点で勝利している感があるけれど、細部まできちんと書かれていて、感動的なラストも良い。
出オチといえば出オチなんだけれど、妙にリアリティがある。
増田が推敲しながらこれを書いているところを想像するのも楽しい。
高木さんのおでこに馬刺を盛り付けて人肌で程よく脂が溶け始めたところを..
路線としては、涎先生の前例はあるけれど、きちんと「高木さん」らしさが出ていて、オリジナリティがあって良い。
ブコメでは「おでこでは解けすぎる」との指摘。
こちらも、一生に一度しか使わないであろうフレーズで良い。
トラバ・トラバツリー部門
トラバというのは、偶然の産物だ。
元増田がそのトピックについて書かなければ、大半のトラバは書かれることがなかっただろう。
だから、トラバには、ドラマ性がある。*1
こんばんは、牡蠣です。正確には、前世で牡蠣でした。無脊椎動物のため、..
牡蠣トリロジー。
この元増田から、こんなトラバツリーが出来るなんて、一体誰が想像できただろうか?
中でも、「おい牡蠣、てめえ許さねえぞ」の「前世でイシダイに〜」の段落が秀逸。
「2018ベストツッコミ増田賞があったら推薦したい」のブコメに頷くばかり。
これを見た後では、もう他のツッコミが思いつかない。
逆に、このツッコミが合うのは元増田くらいかもしれない。
ブコメだったら、大量にスターがついたであろうトラバ。
「ひょっとして」で溜めを作る小技も効いている。
昔バイトしてたスナックの常連さんに、発音不明瞭過ぎてしかも唯一聞き取..
よくこんな話思いつくなー、と思ったらまさかの実話。
他の方のまとめ
おわり
※追記
ブコメを見て書き忘れてたことを思い出した。
増田における創作(もしくは匿名での創作)の特徴の一つは、予測可能性が低いことだ。
顕名であれば特に何作か発表済みの作家であれば、ジャンルからリアリティラインまでなんとなく予測できる。
レーベルや書店のポップで察することができる場合もあるだろう。
一方、増田で書かれたものの場合、情報はほとんどない。
分かるのは、書き手がはてなユーザーだということだけ。
フィクションかノンフィクションか。
SFなのか、ファンタジーなのか、ミステリーなのか、私小説なのか。
語り手の性別・年齢はおろか、(設定上)人間なのかすら分からない。
そういうところも面白い。
*1:トラバの効果についてはid:zeromoon0さんの指摘もある。とんだお笑いの2018年下半期の増田アワード20選 - さよならドルバッキー