今にも崩れそうな本棚の下で

漫画の感想を書いたり書かなかったりします。

マンガで気になるルビの使い方

マンガを読んでいて気になった、ルビの使い方の話をしたいと思います。

 

マンガのセリフで、「本気」と書いてあって「マジ」と書いてあった場合、キャラクターが音として発声しているのはどちらの言葉でしょうか?

通常は、キャラクターが音として発声しているのは「マジ」であり、「本気」はその意味を読者に説明するために書いてあるのだと思います。

(ルビの対象となる元の文字を親文字と言うようですが、あまり聞き慣れない言葉なので、以下「本文」と記載します。)

 

ところが、例えば、「闇金ウシジマくん」ではこれが逆になることがあります。

「10日5割」と書いて「トゴ」のルビ、「身柄」と書いて「ガラ」のルビを振っている場合。

これは通常の使用法どおり、各キャラクターは、音としてはルビの音(例えば、トゴ)を発しており、本文は、その意味内容を表しているケースだと思われます。

他方、「アシバー」と書いて「遊び人」のルビ、「ギミック」と書いて「仕掛け」のルビ、「特商法」と書いて「特定商取引法」のルビがふられていることがあります。

これらの場合は、通常とは逆に、各キャラクターが音として発声しているのは、本文の言葉であり、ルビの方が意味内容を表しているのではないかと思います。

 

似たようなケースでは、ドリフターズにおいて、主人公島津豊久が音として発声しているであろう薩摩弁が本文に記載され、それを標準語に翻訳(?)したものがルビになっています。


以前、以上のようなルビの使い方が気になる、ということを、はてな匿名ダイアリー(増田)に書いたところ、脚注や補足みたいな使い方なのではないか、という指摘をいただきました。

たしかに、注釈であれば、本文より小さな文字で書くことがありますから、注釈がルビにまわり、キャラクターが音として発声している言葉が本文になるというのは納得できます。

wikipediaでも、ルビは「文章内の任意の文字に対しふりがな/説明/異なる読み方といった役割の文字をより小さな文字で」記すもの、とされており、上記の用法は、説明の文字を記載しているケースといえそうです。

ルビ - Wikipedia

 

ただ、闇金ウシジマくんの例のように、同一作品でルビを正反対の使用法で使われると、読んでいてちょっと引っかかることがあるんですよね…。

前後の文脈や単語から言って、どちらの使用法かは分かることは分かるのですが、一瞬ストーリー外のことに気をとられると、読んでいる途中の没入感みたいなものが削がれるような気がします。

 

ルビについて気になることがもう一点。

本文とルビの意味がほとんど関係ないパターンです。

例えば、ハンターハンターにおける「神の左手悪魔の右手ギャラリーフェイク)。

盗賊の極意(ハンターズスキル)などは意訳の範囲でしょうが、ギャラリーフェイクに至っては、ルビと本文がほとんど関係ない、というか別のマンガ2作品のタイトルです。(念能力の内容や実際にやってることを考えれば、関係はあるとはいえばありますが。)

念能力という固有名詞なので、何でもアリといえばアリですが、あの世界のキャラクターはルビの部分を発声しているのか、本文の部分まで含めて自分で考えているのか、本文の部分は他人に伝えてるのか、などよく分からない部分です。

(アニメでは、例えば天空闘技場の実況が両方読んでいた気がします。)

皆さんはどのように考えて読んでいるのでしょうか?

 

また、東京喰種Reなどで見られるのが、本文とルビに一見真逆のことが書いてあったりするパターンです。

例えば、本文は「平和的解決」で、ルビが「一方的虐殺」など。

これに至っては、実際にそのキャラが発声したのはどっちなのかよく分かりません。

このケースや同作品の「おかわりちょーだい」のケースについては、発言しているキャラクターの個性や演出面から言って意味があるので良いとは思うのですが、読んでいて少し引っかかるところでした。

 

最後に、「疾風伝説 特攻の拓」の有名なセリフ、「“事故”る奴は…“不運(ハードラック)”と”踊(ダンス)”っちまったんだよ…」については、「ダンスっちまった」と発声しているということだ良いのでしょうか…?

ちょっと不思議な感じです。

 

以上、ルビについて、普段気になるところを書いてみました。

 

※この記事は、以前、はてな匿名ダイアリーに書いた日記を再構成し、加筆したものです。